ボクのあの子はMMK


「楓ちゃ〜〜ん、たのも〜〜〜!!」

ボク、遊神 楓16歳。
相変わらず弱っちいオトコどもに毎日毎日コクられてる。

ちょっと前に、骨のある素敵な男の子を見つけて、付き合ったりしたけど。
アイツが好きなのは別の女の子…いや、男を選ばれて、玉砕しちゃった。

ボクは本気ですきだったのに。
猿野…天国くん。

ホントは、ダメになっちゃった今も忘れられない。

だって、ボクと対等に戦って…しかも、助けてくれたのはアイツだけだったし。
それに後で沢松とかいう奴に聞いたけど、アイツは沢松のためにボクと戦ったんだ。

自分のためじゃなくて人のためにボクに挑んできたのは…。
アイツだけだった…。


ダメだ、やっぱり忘れられないや。


「か…楓ちゃん…ギブ…。」

あれれ、今日のコクりくんいつのまにか気絶してたや。


やっぱり猿野くんみたいに歯ごたえがないんだよね。

…会いたいな、猿野くん…。


野球部、って言ってたっけ。


そう言えばクラスの子が騒いでたな。
野球部が今日練習試合するって。

野球部ってカッコいい男の子が多いって女子の間では有名なんだ。
猿野くんはヘンなことばっかりやってるから女の子には人気がないって言ってたけど。

…試合、してるのかな。

…会いたい…。


######


「おう、楓じゃねーか。」

「やっほ〜もみじチンv」

結局ボクは野球部に来ちゃったよ。
もみじチンが近くにいて助かっちゃった。

あ、もう試合始まってるみたい…。
何か、変わった色したユニフォームだよね。
学校名は…セブンブリッジって、書いてあるな。

「どうした、お前がコッチ来るなんて珍しいな。
 …あいつもいるんだぜ?」

もみじチン、気ぃ使ってくれてるのかな?
まあ、あの時…ボク、猿野クンに振られちゃったワケだし。

「…アイツ、出てるの?」
けど、ボクはアイツに会いたいから来たんだモン。
大丈夫だよ、もみじチン。


「ああ、…出てるぜ。
 あいつは普段サイテーだけど…試合の時はかなりやる、からな…。」

あれ?…ちょっといつもと雰囲気違うかな、もみじチン。
けど、もみじチンもこう言ってるってことは猿野クン、すごいんだ。


「出てるの?今どこ?!」
「…楓?」

ボクは早く猿野クンが見たくなった。
あれから一回も会ってなくて…ホントはずっと会いたかったもん。

「猿野は次の打順だ。…ホラ、出てきたぞ。」

「あ!」



「かっとばせ〜〜!猿野!!」

「兄ちゃん、頑張れ〜〜!」 


「おう!任せとけ!!」

あ…すごい、何本も、バット軽々と振ってる…。
猿野クンがバット振ってるの初めて見たな。


「ヒューvひっさしぶりだな〜さるのv」

「おう!今日はどんな球持ってきたんだ〜?」

「うふふ、また会えてうれしいわ〜vお猿ちゃん。
 相変わらず素敵なお尻ねvv」

「ね…姉さんもお久しぶりです…。」

「こら〜〜アニキ!!近いからって猿野犯すんじゃねえぞ!!」

「おか…っ。」

「あら〜〜人聞きが悪いわねえ。
 ちょっとくらい触ってもいいじゃない?」

「だ〜〜っ!!」

「…とっとと投げてくれないか…。」(審判の一宮)


………。

な、何かあの敵のピッチャー…すごい事言ってなかった…かな?
きっと気のせい…だよね。


「ちっ、しゃあねえな〜。
 後で楽しもうぜ、猿野v」

「やかあしい!!」


あ、投げた。


すご…速い…。



カキィイイィイイン


打った…!!


「ちっ!」


猿野クンの打った球は、そのままフェンスの柱に激突した。

すごい…すごいんだ、猿野クン…!!
やっぱりカッコいいよ…。


「よくやった〜〜猿野ぉっ!!」

「さすが猿野くんっす!」

うん、ホント流石ボクの攻撃を受けるだけあるよね…。


「アイヤ〜影州形無しネ。天国凄いアルよ〜〜v」

「わわっ!ワンタンさん、アンタショートでしょ!?」

あれ、また何か敵さんが猿野クンに懐いてる…。


「またか…。」
「またって…もみじチン、猿野クンって敵さんに人気あるの?」

もみじチンに聞くと、すっごく複雑な顔でため息をついた。
…あれ、もしかしてもみじチンも…?


「敵さん…ってか、すげえ人気あるんだよ…男に、な…。」


「へ?」


え?え?

「じゃあこの間猿野クンが沢松って男を選んだのって…。」

ボクを断るためだけじゃなくて、ホントに…?


そう思ったとき。
「それはどういうこと〜〜?」

「え?」

間延びした声の方に振り向くと、ちょっと顔色の青い大柄な、まあカッコいい感じの男がいた。
もみじチンはこの男を見て驚いちゃってる。

知ってるの?


「あ…あんた凪のアニキ…。」
「え?凪の…って、鳥居凪のアニキなの?!」

「…君は凪のお友達のマネージャーだったよね〜〜。
 君は…知らないけど、さっきの話ってどういうこと〜〜?
 びみょ〜〜〜に気になるんだけど〜〜。」

びみょ〜にって…めちゃくちゃ気にしてる形相してるよおおお??!!

もしかして、このお兄さんも??!!

「沢松くんを選んだなんて…ひどいよ、てんごく君…。
 何でオレじゃないわけ〜〜?」

驚いている間に、鳥居凪のアニキって人は、こぶしを握り締めてグラウンドに走り去っていった。


見る間に、猿野クンのところに到着してる…早!!



「け、剣菱さん??!!アンタなんでここに…!?」

「てんごくく〜〜ん、会いたかったよ!!」

「おい、剣菱?!お前入院中だろ!!??」

「剣ちゃん、あなた病院抜け出してきちゃったの?!」

「鳥居くん?!」

あれ、あの人確かここのキャプテンだっけ?
うわ、他のウチの野球部員もみんな集まってきて…。


「沢松くんに愛を告白したってホントなのかい?!!」


「「「「「「何ぃ〜〜〜??!?!!」」」」」」


二校分のオトコどもが猿野クン…囲んじゃった…。

「あ…。」

「あ〜あ……。」

「…これで練習試合しばらく中止だねえ…。」

「あ、柿枝先輩…。」

「アンタ1年かい?こんなグラウンド内で不用意なこと言っちゃダメじゃないか。
 猿野のこととなったら目の色が変わる連中ばっかりなんだからさ。」

「猿野クンの事って…そんなに?」

「?ああ、何だアンタこのあいだ猿野とちょっと付き合ってたっていう…。
 何、本気になっちゃったのかい?猿野のこと。」

「え、はい…それは…。」

「そっか…じゃあ、大変だね。
 ライバル…多いよ?
 沢松のこと選んだって言ったけど、多分アンタに凪を恨ませないようにしたんだと思うし。
 あいつ、優しいから…ね?」


うわ…このおねーさんも…みたい…。


ていうかやっぱりボクの目に狂いはなかったんだなあ…。
ボク、振られたとき見る目がなかったのかなって思っちゃったけど。
酷い奴なのに、忘れられなくてバカだったかなって思ったけど。

そんなわけないよね。


だって、猿野クン。


このボクが本気で好きになっちゃったんだもん。


だからボクも、もっと頑張って。

今度こそちゃんと猿野クンと恋人同士になってやるんだから!!





end



超・死語なタイトルでした。MMKは「モテてモテて困っちゃう」の略だそうです…。(byちびまる子ちゃん)
多分70年代くらいにあった言葉じゃないかと…。

で、今回は楓ちゃん視点で。
ホントはあまり楓ちゃんの話口調分かってないんで、いい加減ですが…。
あと時間設定もあまり考えないでください。
七橋(しかも3年)と十二支が練習試合ってもう絶対ありえないはずですがね…。

綾瀬沙空夜様、非常に遅くなりましてまことに申し訳ありませんでした!!
改めまして素敵リクエスト、ほんとうにありがとうございました。

こんな奴ですがまだまだミスフルは続けますので…。


ではでは、今日はこの辺で。

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